2006年10月31日火曜日

原状回復最前線

悲しい話しですが、年々退去時の原状回復に関するトラブルの数は増えてきています。
一昨年東京都では「賃貸住宅紛争防止条例」(通称:東京ルール)が施行され、敷金の取り扱いはかなり改善されて貸主側の責任によるトラブル数は激減しています。



逆に増えているのが、家を大事にしない入居者の故意過失による損傷です。
今日は夕方から某大手リロケーション会社(借主代理人)の担当者が来社し、原状回復に関する話し合いがもたれました。



そんなことが実際にあるのか?と疑いたくなるような事例ですが、部屋に設備としてついていたエアコンと照明器具が持って行かれてしまったという話しです。
間違って持って行ってしまった物であれば元に戻していただければ済む話しですが、借主代理人曰く、「入居者の負担で新しい物に交換したので持っていった、古い物は廃棄したので手元には残っていない」との回答です。



一言交換前に契約書の約定通り事前に了承を得てもらえればこのようなことは起きなかったのですが、人から借りている家、という自覚が全くない人達が最近増えています。
大手企業の社宅に済む人達(特に外資系)でこの傾向が強くなってきたような気がします。



日本企業の法人契約の場合は、トラブルと言うほどもめるケースは殆どありませんが、外資系企業の場合当社ではこの5年間で大きなトラブルに発展したケースはこれで2件目です。



2件とも同じ外資系の世界有数な金融機関の法人契約でした。
これまた2件とも借り主代理人となっているのは某大手リロケーション会社です。



外資系企業は無駄を省くためでしょうが、社宅の窓口をアウトソーシングしています。
企業自体も契約行為をアウトソーシングしている為全て人任せ、入居者も窓口となっている借り主代理の会社は下請け企業ぐらいにしか思っていないのでしょうか、窓口会社の注意やアドバイスをあまり聞かないようです。



このような悪循環から物(借りている家)を大切にしない風潮が芽生えているのかも知れません。
外資系の大手にお勤めの方は当然エリートの方達で、仕事の力量も人より優れている為にその職を得ているのでしょうが、言った者勝ち、やった者勝ち、強い者勝ちの生存競争が激しすぎる世界にいると物を大事にし、人の気持ちを思いやる精神が薄れてきてしまうのではないでしょうか?



手段を選ばず、とにかく勝った者が誰よりも評価されるシステムを私はあまり好きになれません。



最近の世の中を見ていると余りにもみんな自分の主張ばかりが強く、相手の立場や気持ちを理解しようとしなくなっている気がします。
甘やかしすぎとも思える消費者保護法や個人情報保護法など、ちょっと過保護すぎる法制度がこの風潮を助長しています。



そしてこの風潮が原状回復や不動産の取引だけではなく、いろいろな社会問題のトラブルの元になっています。



古き良き日本の思いやりはいつになったら戻ってくるのでしょう?
きっちりとした子供の頃からの教育をもう一度やり直す必要がありそうです。



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